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『硫黄島からの手紙』
第68回『硫黄島からの手紙』("Letters From Iwojima", 2006)

ストーリー:第二次大戦末期、日本本土をB29の爆撃から守るべく、硫黄島守備隊は司令官である栗林中将(渡辺謙)の指揮のもと、決死の覚悟で戦いに挑む。圧倒的な戦力を誇る米軍に対し、地下壕を掘り、徹底抗戦する日本軍。迫り来る死を眼前にして、兵士たちはそれぞれの思いを抱えていた−

 スティーブン・スピルバーグ(製作)&クリント・イーストウッド(監督)というふたりのオスカー監督がタッグを組んで製作された「硫黄島二部作」の第二作。太平洋戦線最大の激戦とも言われた硫黄島の戦い、そしてその真実を日本側からの視点で描いています。

 圧倒的な戦力差で、三日で占領されると思われていた硫黄島ですが、日本軍は36日もの間、必死に戦い続けました。硫黄島が中継基地になると、それだけ本土爆撃が激化することになり、それを一日でも遅らせようとする決死の戦いです。そんな中、絶対に生きて妻子に会うという強い意志を持つ若い兵卒、五輪金メダリストでアメリカのこともよく知る西中佐、それに戦場で死ぬことが兵士の美徳であると考える将校など、さまざまな兵士の視点からこの映画は描かれています。

 全編日本人俳優が日本語で演じているハリウッド映画など過去にはなかったでしょう。しかも、渡辺謙をはじめ、二宮和也、伊原剛志、中村獅童、加瀬亮といった日本のトップ俳優がこれだけ出演している外国映画もめずらしいと思います。まるで日本映画のようです。

 内容からいえば、日本では太平洋戦争を舞台にした「戦争の狂気」を描いた映画は少なくなく、『人間の條件』をはじめ、近年でも『君を忘れない』『きけ、わだつみの声』『男たちの大和』『出口のない海』など数多く作られてきており、そういう映画やテレビドラマを見ている日本人にとって真新しいものではありません。※こうした「戦争や軍隊の狂気」を描き、ひいては反戦を訴える作品を戦後早くから作っていた日本は、この分野では進んでいたといえます。ただ、これも日本人自身が悲惨な経験をし、傷ついたことからくる思いなのでしょう。

 ただ、ハリウッド、それにクリント・イーストウッドという名監督が作ったことに大きな意義があります。世界中の人々が注目し、多くの人々が見ることになるからです・・・上記のような悲惨な戦争映画を目にすることがなかった日本の若者も、多いに興味を持つことでしょう。それは本当にいいことだと思います。

 この作品が日本映画と違うところはやはりハリウッドならではのスケール感。迫り来る艦船、飛行機、そしてリアルな戦闘シーン。そして、計算されたカメラワークや編集、それに音楽。脚本もしっかりと日本人により監修されています。ひとつ気になるところがあるとすれば、そのキャスティング。オーディションを行った上での配役なのでしょうが、重要な役どころの兵士たちが無名の役者で、存在感に乏しかった気がします。日本にはもっと芸達者な役者がいるのに、と感じました。それから、二宮の妻役が一回り以上も年上の裕木奈江だったこと。二宮は童顔なので、さらに違和感を感じました。外国人からすればそんなに分からないのでしょうか。こういったことは日本人ならではの視点ですが・・・

 アメリカでの公開は12/20からのようですが、全編日本語、日本人俳優による日本軍を描いたこの作品が世界でどのように受け入れられるか、非常に興味があります。戦争は世界中で今も続いていますが、我々日本人も外国人によって作られたこの作品を観て、戦争の悲惨さ、我々の先祖の思い、そして愛国心や家族への愛情といったものを再認識してほしいと思います。

評価(5つが最高):★★★★


author:りゅう, category:映画, 12:15
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