第75回『カサブランカ』("Casablanca", 1942)
カサブランカ 特別版
ストーリー:第二次大戦下、モロッコの首都カサブランカ。アメリカ人のリック(ハンフリー・ボガート)は、自らが経営するカフェでかつての恋人イルザ(イングリッド・バーグマン)と再会する。イルザは反ナチス抵抗運動のリーダー・ラズロの妻だった。ドイツ軍により出国禁止措置をとられたラズロを救出するため、イルザはリックに通行証を譲ってくれるように頼みに行く―
1943年アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞受賞。
米脚本家組合「偉大な脚本歴代ベスト101」1位。
アメリカ映画協会(American Film Institute)によるランキングでは
「アメリカ映画オールタイムベスト」3位
「最高のラブストーリー」1位
「主題歌」3位
「名セリフ」5位
「ヒーロー」4位(ハンフリー・ボガートが演じたリック)
となっています。古い映画でありながら総合的に、しかも広い世代に評価されているのが特徴。こうした結果からもわかるように、映画史上に残る名作であることは間違いありません。ちなみに、「伝説のスター」ランキングでもこの映画の主演俳優ふたりが上位にランクされています。
※男優:ハンフリー・ボガート1位、女優:イングリッド・バーグマン4位
「オススメのラブストーリーは?」と聞かれれば、私は迷わずこの作品を挙げるでしょう。主演の二人が最高に格好いいだけでなく、舞台(モロッコ)、時代背景(戦時下)、音楽(名曲「As Time Goes By」)、セリフ(「君の瞳に乾杯」など※これは高瀬鎮夫さんの訳も素晴らしかった)等、ラブストーリーに必要な要素が完璧な形で盛り込まれていました。「大人の恋愛映画」の代表のような映画です。
イングリッド・バーグマンは本当に美しい、あらためてそう感じる映画です。綺麗なだけでなく、気品があって、それでいて表情豊か。圧倒的な存在感で観客を魅了します。生涯に3度オスカーを獲得した名女優ですが、この映画でも二人の男性の間で揺れる女性を情熱的に演じています。そして、ボガートが演じたリックには男女問わず魅了されることでしょう。
時代的に反戦(反ナチス)の内容がところどころ見て取れますが、反戦映画というより、その時代に翻弄された男女のラブ・ストーリーとして見たほうがすんなり入っていけるでしょう。クラシック映画を見ない、あるいは見たことがないという人には絶対オススメの作品です。こういう作品を見逃しているという人は間違いなく損をしていると思います。
評価(5つが最高):★★★★☆